2020年1月にGoogle社は、「ChromeにおけるサードパーティCookie(クッキー)のサポートを2022年までに段階的に廃止する」という発表をし、そこから新たに、2021年3月3日(米グーグル現地時間)「Cookieのサポート終了後その代わりとなるWEB個人を追跡する技術の構築は行うことはない」と追加発表をしました。
これを受けて「サードパーティCookie廃止でアフィリエイト広告はどうなるの?」と、心配なブロガーの方も少なくないかと思います。
まず結論を先にお伝えしてしまうと、3つのポイントを抑えてさえおけば問題はないのでご安心ください。
ただ、ポイントを解説していく前に、「Cookieとは一体何なのか」「Cookieがなぜ規制されるのか」という部分をまずは理解しておきましょう。
目次
そもそもCookieとは何なのか?
規制や廃止の動きでざわついているCookie(クッキー)とは一体どういった仕組みなのでしょう?
Cookieの仕組み
Cookieとは、WEBサイトを閲覧したユーザーのIDやパスワード、閲覧履歴など、情報をブラウザ上(Google Chromeなど)に一時的に保存する仕組みのことを指します。
つまり、ユーザーの行動を追跡や記録をすることができるのです。
例えば、このような経験はありませんか?
利用しているSNSで、一度ログインしたらその後はログインが不要になっていたよ。
通販サイトで、買い物カゴに入れておいた商品を2、3日放置していたのに入ったままの状態だった…。
これら全てCookieのもつ機能なんです。
実はCookieには種類があり、これらはドメイン(サイトの住所のようなもの)の発行元によってそれぞれ機能が異なります。
Cookie機能の違い
Cookieの種類には、『ファーストパーティCookie』と『サードパーティCookie』の2つがあります。
ユーザーが訪問したサイトと同じドメインより発行されるCookieのことを指します。
前述の「ログイン時のフォーム入力の省略」や、「カートの中身の保持」などがそうです。
ファーストパーティCookieは、ユーザーの訪問先ドメインが発行しているため信頼性は高く、制度の高いトラッキング(追跡・記録)が可能です。
ただし、他サイトを横断してのトラッキングをできません。
ユーザーが訪問したサイトとは別のドメインより発行されるCookieのことを指します。
異なるドメイン同士を、横断して紐付けることができるので、リターゲティングやリマーケティングと呼ばれる追跡型の広告に用いられることが多いです。
この機能は、ユーザーの行動パターンを追っていくことができるので、広告配信の際に効果を出しやすいというメリットがある反面、個人情報などのプライバシー保護の観点から懸念の声もあります。
2つの違いを簡単に言うと、『他のサイトをまたいでの追跡や記録をすることができるか、できないか』の違いです。
GoogleがCookie規制をするのはなぜか?
ではなぜ、Google社は、こんなにも便利なCookieを制限していく動きとなっているのでしょう?
これは前述にも記載のとおり、個人情報などのプライバシーを保護する動きが活発になっているからなんです。
ここからは廃止に至った理由とその背景について解説します。
廃止の理由
Google社がChromeサードパーティCookie廃止する理由は、「WEBを利用するユーザーのプライバシーを安全なものにし、パブリッシャーをサポートすること」です。
つまり、WEBを利用するユーザーにとっては、自分行動のデータが誰に、どのように活用されているのかどうかが不透明であり、これはプライバシーの侵害にあたるのでは?といったことになり、廃止に至ったというわけです。
廃止に至る背景
実はサードパーティCookieをブロックする動きは、Google社だけではないのです。
Chrome(Googleブラウザ)だけでなく、過去にはSafari(Appleブラウザ)のITP制限(intelligent tracking prevention)や、Firefoxなど、他ブラウザではGoogleよりも以前に行われています。
こうした昨今の個人情報保護の観点や、プライバシーの侵害、独占禁止当局からの厳しい指摘もあり、今回のChromeサードパーティCookie廃止に至ったというわけです。
Googleが初めにサードパーティCookieを制限したわけではない…。
その通り!むしろGoogleがCookie制限をすると発表したのは、他のブラウザと比べると、かなり後になるんだよ。
今後の動き
GoogleはサードパーティCookieの廃止後に、「個々の消費者のタイプ、習慣、傾向を分析し、同じ広告を受け取る個人の集合をグループ化させターゲティングする」という『プライバシーサンドボックス(FLoC)』と呼ばれる新たな取り組みを進めています。
ただこれはGoogle広告(旧Googleアドワーズ)を利用する広告事業主に向けた取り組みですので、アフィリエイト広告に対するメリットはそこまで大きくないかと思われます。
アフィリエイト広告の対策
さて、ここからが本題です。
ChromeサードパーティCookieを廃止となるとブログ運営者(アフィリエイター)は何をすべきなのでしょうか?
実際のところサードパーティCookieが廃止となった場合、広告コンバージョントラッキング(広告成果の計測)を追うことが難しくなっていき、計測が廃止前に比べ曖昧となる為に何らかの影響が起こる可能性は否めません。
ただ、このコンバージョントラッキングの計測が曖昧となって困るのは、アフィリエイト広告を貼って訴求をするブログ運営者だけではないのです。
つまり、アフィリエイト広告サービスを提供するASP企業にも何らかの対策が必要になってくるというわけです。
ASP各社の対応
ここからはASP各社の対応内容についてまとめています。全てのASPを確認してたわけではないですが、具体的なアナウンスを確認することができた3社の内容を引用記述しておきます。
成果計測用Cookieの属性追加(SameSite=None,Secure)を実施致します
A8.netのCookieとして適切であるCookie属性を付与致します。
※本対応について会員様でご実施頂く対応はございません
広告リンククリック時に「https」にリダイレクトする処理を適用致します
現在提供を行っております広告リンクは既にhttpsでのご提供ではございますが、2016年7月26日以前に取得頂きました広告リンクの場合「http」でのご提供となっておりました。旧リンクを適切に処理するため、「http」での接続の場合「https」へリダイレクトする処理を適用いたします
※本対応について会員様でご実施頂く対応はございません
GoogleChromeアップデートに伴うA8.netの対応に関しまして
コンバージョントラッキング用のタグを、ITP対策用のJavaScriptタグに入れ替えているプログラムのことです。入れ替えが完了すると、ITPの影響を受けずにアフィリエイトのトラッキングが可能になります。
管理画面のナビゲーションから[広告]>[詳細検索]と進み、「ITP対応状況」のチェックボックスから項目を選択し、該当する広告主のプログラムを絞り込めます。
VALUE COMMERCE(バリューコマース)/ヘルプ
Google社から発表されておりますChromeバージョン80のCookieポリシー変更に関しまして、felmatではサードパーティーCookieにおきまして、SameSite・Secure属性を利用した対応が完了しております。
尚、【ITP(2.0~2.3)対応】が明記されているプロモーションに関しては、ファーストパーティーCookieを利用しておりますので、本件に関する影響はございません。
Felmat管理画面
ASP企業…。Cookie制限に対して、いろんな対策をしている…。
そうなんだ。これらASP側の対策は、アフィリエイターにとって本当に助かることだよね。
前述のASP各社の対応内容が不明である場合は、ひとまず「ASPを選ぶ際はITP対応がなされているところを選ぶようにする」と覚えておいてください。
個人的見解にはなりますが、以前のサイトトラッキングの抑止機能、ITPアップデート(ITP2.3)の際に、サードパーティCookieから、ファーストパーティCookieに切り替えていく流れは作れていましたので、今後追加で、Cookieへの属性対応や、HTTPSへのリダイレクト処理などを行えることができれば、そこまで大きな影響は出ないと考えています。
A8.netやfelmatに関しては、このITP対応のアナウンスが非常に早かったことがあったので、このようなイレギュラーを迅速に対応できるASP企業は信頼できると言えますね
逆を言えば、「まだアナウンスが出ていない、」「アナウンスは出ているが、内容が抽象的で具体性がない」と言うような場合は少し心配に感じます。
アフィリエイトするなら「ITP対応」は必須!選ぶべき理由と対策ブログ運営者に必要な対応
いくらASPが対応してくれているからと言っても、「アフィリエイター側で何も対応することはない」というわけではありません。
下記のA8.netからのアナウンスのように、ASP側から何らかの対応依頼が出ることがあるので、こういった場合は、アフィリエイター側で対応する必要があります。
Webサーバーに設定する方法
Webサーバーの設定でHTTPヘッダにReferrer-Policyを設定する。
Referrer-Policy : no-referrer-when-downgrade
HTMLファイルに設定する方法
HTMLのheadタグ内に以下のタグを追加する。
<meta name=”referrer” content=”no-referrer-when-downgrade”/>
A8広告リンクコードに設定する方法
広告リンクコードの <a> タグに下記記述を追加する。
referrerpolicy=”no-referrer-when-downgrade”
GoogleChrome85リリースに伴うA8.netへの影響に関して
ASP各社からの最新情報を注視…。対応が必要な場合は適宜行なう…。
3つの対策
アフィリエイター側で必要な対応としては、前述のとおり『ITP対応ができているASP案件』を選んでおけば、現状大きな問題は生じないのではないかと思われます。
反対にITP対応をしていない案件は、そもそもSafariブラウザでの成果を、計測し損ねている可能性があるので、特に理由がなければ対応済みの案件へ変更した方が良いでしょう。
今後ファーストパーティCookieも制限の対象となった場合は、どうなるかは今現状ではわかりませんが、現時点においてはアフィリエイター側への影響は大きくはないと思います。
ITPアップデートの際にしっかりと対応できているASP企業へは感謝するばかりですね。
ただ、私たち運営者もブラウザとASP共に、Cookie制限に関する今後の動きについてを注視していく必要があるかと思います。
今回のGoogle ChromeサードパーティCookie廃止の発表に関するブログ運営者での対策点をまとめると、以下の3点がポイントです。
- ITP対応案件のASPを選ぶ
- ASPからの対応依頼は完了させる
- 今後のASPからの更新情報にも注視する
3つすべて…。対策、する…。
さいごに
「コンバージョントラッキング計測へ影響が出る」というイメージが先行してしまった為、多くの人を不安にさせたサードパーティCookie廃止の動き。
今後もより、プライバシー保護への取り組みを強化されていくことが予想されます。
さらには、トラッキングによる広告成果の難易度は、ますます高くなっていくかと思われますので、運営者側でも情報をキャッチしていき、適宜準備していけると良いですね。
このクッキー制限の動きが、パブリッシャーのビジネスとも、うまく両立していくことを期待をするばかりです。